一回だけ
清麿は、自分の膝でグッスリと眠っている恋人を苦笑しながら見守った。
何の話の流れだったか。とにかく清麿がサンビームの耳かきをする、という話になって。
結構素直に膝に頭を乗せてきたと思ったら、ものの数分で寝息が聞こえてきた。
疲れてるんだなあ、と思う。
それはそうだろう、と思う。
ハードな仕事に残業、そして魔物同士の戦い。
ウマゴンとのトレーニングだって休日には欠かしていない。
そのほんの隙間、こうして二人きりで会ったりしているわけだけれど。
こうして二人きりの時に一番気を抜いてくれているのかと思うと、清麿の口元は弛んだ。
いつも凛とした雰囲気を纏うこの人が、たまに自分だけに見せる笑みをふと思い出し。
体を休めて欲しいけれど、あの笑顔も見たい。
目が覚めるかどうか、一回だけキスしてみようか。
そっと体を屈める清麿の唇がサンビームのそれに届くまで、あと数センチ。
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