「ますます」
その日の夜、清麿がサンビーム宅を訪れたのは魔界の建造物の件について新たに得た情報を伝えるためだった。
「・・・そいつが言っていた。あと4日で全てが終わるって」
少年の顔に苦渋の色がにじむ。仲間思いの彼は呪いを受けた少女とそのパートナーの魔物のことを心配しているのだろう。
「わかった。会社にはしばらく休むと連絡するよ」
「すまない、サンビームさん」
頭を下げる清麿に、サンビームは笑顔でこたえた。
「清麿が謝ることじゃないさ。ウマゴンのパートナーである以上、私も無関係でいるわけにはいかないんだから」
裏で行動している魔物たちはずいぶん好戦的な連中のようだ。炎の術を習得したウマゴンの力が必要になる可能性は高い。
「でもさ、サンビームさんにとって会社は単なる仕事のための場所じゃないんだろう」
清麿の瞳に力がこもる。正面からサンビームを見つめて言葉を続けた。
「前に話してくれたじゃないか。車の技術を持たない国に指導に行くのが夢だって。なのに、また会社を休まなくちゃいけないなんて・・・」
清麿は運よく春休み中だ。しかし、サンビームは気楽に休みをもらえる身ではないことは明白だ。もし休みが続くようなことになれば仕事をやめなくてはならないかもしれない。それは彼の夢にとっては大きな障害になることは間違いないのだ。
「オレ、その話を聞いてあんたのことを尊敬したんだ。夢を叶えてもらいたいって思ってるんだ。だから仕事のことも申し訳なくて・・・」
「・・・清麿」
清麿が自分の話を覚えてくれていたことにサンビームは嬉しくなった。と同時に18歳も年下の少年に心配されていることがくすぐったくもある。本来なら年長者であるサンビームのほうが清麿の身を案じるべきなのに、どこかで彼に甘えている自分がいるようだった。
伝えたい。この優しい少年の力になりたいと思っている自分の気持ちを。
「あのファウードとやらの封印が解かれれば深刻な事態になるのだろう? もしそれがこの世界を揺るがすようなものだったら、私が夢を叶えるための場所が無くなってしまうことになるんじゃないかな」
サンビームはただ巻き込まれているわけではない。自分の心が感じているのだ。行かなくてはいけないと。
「だから私も行くんだ。むしろ君たちと共に行動できて嬉しいと思っている」
清麿がテーブルの上で握りしめている拳をサンビームは両の掌で包む。ぬくもりを分け合うように。
「私のことを心配してくれるなら、さっさとリィエンたちを助けて帰ってくればいいだけだろう?」
間近くなったサンビームの笑顔に清麿は頷いた。そして力強く言う。
「頑張るよ、オレ。サンビームさんの夢を叶えるためにも」
「ありがとう」
二人はまだ知らない。自分達の進む先に立ちはだかる脅威の正体を。そしてこの夜の約束を守り抜こうとした少年を待ち受ける運命も。
清サンかどうか微妙かな・・・。「騎士」と「姫」を目指したはずなのに(汗)。
清サン強化月間に展示していた作品ですv
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