「その5」

 真冬でも泳ぐことのできる温水プールがアポロが経営するホテルの最上階にあるとのことで、その日魔物の子たちとその保護者もといパートナーたちは招待されて遊びに来ていた。
 さすがに一流ホテルのプールだけあって、快適な上にアポロの権限で貸切になっていたので子供たちは存分に楽しんでいる様子だ。
「で、狙いはなんだ。アポロ」
 清麿が投げた直球の質問に、財閥のトップに君臨する若社長は爽やかな笑顔で答えた。
「狙いだなんて嫌だなあ。友達じゃないか」
 秘書たちがぞっこん惚れこむアポロの身振りに清麿は胡散臭そうな視線を向ける。
「最初はサンビームさんだけを誘ったくせに」
 金色の秀麗な眉毛が引きつった。一つ咳払いをしてからアポロは笑った。
「感謝したまえ。彼が『皆と一緒なら』というから、普通なら一生ロビーを通ることもできないような超高級ホテルのプールを楽しむことができるんだからね」
 不毛な会話に、このためだけにわざわざ来日しているフォルゴレが口を挟んだ。
「そうまでして何をたくらんでいるのかな」
「人聞きの悪いことを言わないで欲しいね」
 黙っていれば超美形の男二人が睨みあう図に恵がため息をつく。アイドルにしては大胆な水着だが、見せたい相手がいないことに気がついて立ち上がった。
「あら、肝心のサンビームさんは?」
 清麿とフォルゴレも立ち上がってプールサイドに視線を走らせる。ウマゴンは他の子供たちと遊んでいるのに、サンビームの姿はなかった。
「ふふふ、心配はいらないよ」
 不敵に笑う若社長に視線が集中する。
「覚えているかい? 以前に彼が着ていた水着を」
 アポロは大仰に首を振った。
「あれはさすがにどうかと思ったのでね。新しい水着をプレゼントしたんだよ」
 ちょっとクラッシックなデザインの水着で充分萌えていた清麿が憮然とした表情になる。
「新しい水着?」
「ああ、着替えてくると言っていたから・・・」
 そこまで口にしたアポロの顔が静止画のように固まった。振り向いた清麿たちも同様である。
「やあ、皆待たせたね」
 にっこりと微笑みながら歩いてくるサンビームは、さながらパリコレのステージに立つスーパーモデルのように輝いていた。肩の薄さと腰の細さで普段は痩せて見えるが、黒いビキニパンツで腰まわりを包んだだけの身体はなめらかだが張りのある筋肉をまとっている。そしてなぜか金色のホイッスルが揺れる胸元は若草のような毛におおわれ、下腹部にも触れたくなるほどやわらかそうな茂みが臍下からビキニの奥へと続いていた。濃くもなく薄くもない彼の毛が男の色気を強調しているのだ。
 ビバ! 黒ビキニ!!
 一同の心の叫びに気づかないサンビームが小首を傾げる。
「どうかしたのかい?」
 慌てて首を振った清麿がふとあることに気がついた。黒ビキニへと吸い込まれていく下生えが再び顔を出すであろう部位が全くの無毛なのである。
「サンビームさん、この辺だけやけにつるつるだけど」
 少年の指摘にサンビームは苦笑した。
「さすがにビキニラインは剃らねばならぬと思うのよね」
 照れからか微妙な言葉遣いで苦笑するサンビームの顔に、一同の頭を妄想がよぎった。

 32歳のたしなみにと、風呂場でしどけなく脚を開いて薄刃の剃刀で内股をこっそり擦る下穿きを穿いてないサンビーム・・・

「「「「ふはあ!!」」」」
 立ち昇る鼻血の噴水に虹がかかる。一斉にひっくり返る仲間たちに訳がわからず仰天するしかないサンビームであった。




第2回サンビームさん受けチャットより、リカコさまのサンビームさんですv イロモノすぎてごめんなさい。




SS…by 野良猫壱号サマ

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